日本民謡について

このページは、日本民謡について解説しています。


日本の風景

日本民謡とは

日本民謡は、日本各地で庶民の間に歌い継がれてきたもので、楽典に則りつくられたものではありません。
拍子等、多くが不規則なものとなっています。

しかし、古くから、人々の心の中にあった日本民謡は、どこか私たちの心を強く打つものがあります。

ゆっくりとしたテンポの歌、さびしい曲調の民謡、素朴な曲、そして、陽気な民謡とさまざまです。

また、北海道・東北の厳しい気候の中で生まれた曲、そして、九州・沖縄の民謡など、曲の感じも異なっています。

民謡の多くは、農村から生まれ、これらのほとんどが踊りを伴い、農民の慰安としての意味合いをもっているということもできます。

日本民謡をいくつかの類型に分けると

日本の風景

民謡は、いくつかの種類に分けることができます。

民謡を音楽的に分類すると、「手拍子と共に歌う歌」と「一人で歌う歌」の2つに分けられます。

手拍子を取り、大勢で歌う歌は、多くが踊りを伴い、2拍子の曲となっています。 花笠踊り *1

一人で歌う歌は、手拍子がとれない複雑な節回しを持つ歌です。 小諸馬子唄 *2

民謡をその発生から分けると、次の分類になります。

「労働歌」「祝い歌」「踊り歌」「宗教歌」「子守唄」

「労働歌」は、その名の通り、仕事の苦しさをまぎらわすため、また、仕事がはかどるように仕事に合わせて歌う歌です。
農作業、漁業にかかわる民謡、山仕事の歌、馬方の歌う歌などがあります。 斎太郎節 *3

「祝い歌」は、正月・結婚、その他、さまざまなおめでたい行事が行われる時に歌われます。 黒田節 *4

「踊り歌」は、盆踊り・大漁を祝う踊り歌などをいいます。 大漁節 *5

「宗教歌」は、神楽などがもとになった民謡です。 コキリコ節 *6

「子守唄」は、日本全国でつくられ、子どもを眠らせるための歌と労働歌としての子守唄に分類することができます。 五木の子守唄 *7

例として紹介した民謡について

日本の風景

花笠踊り *1
山形県尾花沢地方の民謡で、大正時代に行われた灌漑工事の時につくられた労働歌です。

小諸馬子唄 *2
長野県民謡。馬子唄は、馬子がのんびりと歩きながら歌う唄で、追分節ともいいます。小諸馬子唄が日本の追分節のもとになりました。

斎太郎節 *3
山形県民謡。漁師たちの船漕ぎ歌で、陸の風景を思い起こさせ、疲れた体を奮い立たせたました。「大漁唄い込み」ともいいます。

黒田節 *4
福岡県に伝わる民謡です。宮中や神社の音楽である雅楽の旋律が武士の間に広まり、新たな歌詞が付けられました。雅楽の「越天楽」がそのメロディーのもとになっています。

大漁節 *5
千葉県銚子民謡。江戸時代、「いわし」の未曾有の豊漁を祝い、つくられた歌と踊りです。

コキリコ節 *6
富山県五箇山地方に伝わる民謡で、こきりこおどりという神楽踊りです。コキリコという2本の竹でできた打楽器を鳴らしながら踊ります。

五木の子守唄 *7
子守として使われた十代の貧しい農民の娘が、背負った子どもを揺すりながら歌った、労働歌の一つ。熊本県民謡。

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